第1回 はじめに

現在多くの人が使っているヘアカラーですが、「最初のヘアカラーは?」と聞かれたら、すぐにネットで検索するでしょう。

そこで、実際にネットで検索してみました。

多くのブログでよく出てくる画像が、明治38年発売の「君が代」と紹介されています。

よく見ると、右下の山吉商店の住所が「浅草区蔵前・・・」となっています。

「浅草区蔵前」の表示は昭和9年以降のものですから、この君が代は誤りです。

次に、信頼できそうな業界団体のHPから調べました。

全国理容生活衛生同業組合連合会
1183年 斎藤実盛の髪染め
明治中頃まで「お歯黒式」
外国から酸化染料ヘアカラー
明治40年、最初の酸化染毛剤
大正5年、過酸化水素を使った
日本ヘアカラー工業会
1183年 斎藤実盛の髪染め
明治中頃まで「お歯黒式」
明治38年、最初の酸化染毛剤
大正元年、過酸化水素
大正7年、3剤式染毛剤ヘアカラー

これはあまりに簡潔で参考になりません。

そこで、アーカイブでやっと見つけた文献が

「毛染めの歴史」 /  佐藤中哉 著 (女性モード社)

「毛染めの歴史」 /  佐藤中哉 著 (女性モード社)

昭和43年(1968)に美容雑誌のヘアダイ特集に掲載された小文ですが、明治から昭和にかけて80点以上の製品名が登場します。

佐藤中哉はアリミノ化学(現㈱アリミノ)出身で、美容界・一般市場にも詳しいが、この小文は短期間にまとめたため、誤りや出典の記述がないなど、不十分な点があります。

そこで、この「毛染めの歴史」をもうちょっと詳しく解説したものを目指したいと考え、

そのための資料として次の3種類を取り上げました。

1、文献資料・・・文献、新聞・雑誌広告の検索 

君の代広告

ナイス広告

製品の内容、年代の特定が可能になる。

2、ネット情報・・・オークション、ブログ検索

ネットオークション

他にない製品情報が得られる。

3、白髪染容器(ガラス瓶)情報の収集 

ガラス瓶 君が代

ガラス瓶 黒胡蝶

製品に使われているガラス瓶から多くの情報が得られる

これらからの情報をもとに、時代別に白髪染の歴史について解説していきます。

なお、タイトルにある「白髪染」ですが、現在はヘアカラー、白髪染めなどの表示が一般的ですが、50年ほど前は「ヘアダイ」が、さらに古くは「白髪染」との表記が普通でした。

例えば、日本ヘアカラー工業会は、昭和45年以前は日本ヘアダイ工業会となっていました。(工業会HPより) 

ヘアダイ工業会新聞記事

参考資料

・毛染めの歴史  佐藤中哉 1963 女性モード社

全国理美容生活衛生同業組合連合会 HP

日本ヘアカラー工業会 HP

・サロンニューズマガジン 昭和45年6月

・ヤフーオークション ナイス甲、乙瓶

・白髪染製品(ガラス瓶) 黒胡蝶、君が代